【入山許可から交通手段まで】玉山登山で困らない実践ガイド2025

台湾最高峰の玉山(3,952m)は、海外登山デビューに最適な山として多くの日本人登山者に愛されています。

富士山と同程度の体力レベルでありながら、台湾の雄大な自然と独特の登山文化を体験できる魅力的な山です。

しかし、入山許可申請や宿泊予約、アクセス方法など、海外登山特有の準備が必要となります。

このガイドでは、玉山登山に必要な事前準備から現地での実践的なアドバイスまで、初心者でも安心して挑戦できるよう詳しく解説します。

玉山

玉山主峰への台湾登山は、基本的に1泊2日のスケジュールが必要です。

台湾の登山グレーディングシステムでは、玉山主峰は6段階中の3~4級に位置づけられています。

この難易度は「比較的奥地の山域で、地図読み能力、重荷での行進力、リスク評価および対応能力が求められるレベル」とされています。

日本のグレーディングに換算すると、技術的難易度はB~C級程度に相当します。

体力度は4~5程度で、長時間の歩行と高度順応が求められます。

日本の山で例えると、長野県八ヶ岳の赤岳・横岳・硫黄岳周回コース(美濃戸起点)に近い難易度で、富士山より技術的にはやや易しく、体力的には同等以上のレベルです。

初めての海外登山として台湾の玉山に挑戦する場合は、富士山登頂経験と日本百名山での山小屋泊経験があることが推奨されます。

玉山への台湾登山は以下のルートで行います:

  • 1日目: 塔塔加登山口(玉山登山口-塔塔加鞍部)→孟祿亭→前峰登山口→白木林→大峭壁→排雲山荘
  • 2日目: 排雲山荘→玉山山頂→大峭壁→白木林→前峰登山口→孟祿亭→塔塔加登山口

このルートでは1日目に8.5キロを約4時間10分、2日目に13.3キロを約9時間10分歩く必要があります。

総歩行距離は21.8キロ、最高到達点は標高3,952メートルです。

台湾での長時間登山に備えて、3ヶ月前から計画的な体力強化を始めることが重要です。

特に以下のトレーニングを意識的に取り入れましょう:

  1. プランク:体幹筋力と持久力の向上
  2. 縄跳び:心肺機能と脚力の強化
  3. スクワット:下半身の筋持久力向上

これらの基礎トレーニングに加えて、実際の登山を想定した荷重トレーニングや階段昇降なども併せて行うことで、台湾の高山登山に必要な体力を効率的に身につけることができます。

台湾での玉山登山(1泊2日)を成功させるためには、以下3つの予約が必要です。

1. 登山口までのシャトルバス予約

シャトルバス

(画像出典:玉山国家公園公式サイト)

塔塔加鞍部コースでは、一般車両が登山口まで進入できないため、シャトルバスの利用が必須となります。

排雲登山服務中心で入園確認後、有料シャトルバスで塔塔加鞍部登山口へ移動できます。

料金 1人100台湾ドル(約500円)
運行時間 06:30~17:00
予約方法 電話予約のみ
携帯番号 0989-104-222
固定電話 (049)2702213

※現在、メールでの予約は受け付けていません

東埔山荘が提供する有料シャトルバス(毎日06:30~17:00)を現場で申し込むことも可能ですが、混雑時は待機が必要です。

2. 排雲山荘の宿泊予約

排雲山荘

(画像出典:玉山国家公園公式サイト)

標高3,402メートルに位置する排雲山荘は、台湾登山における重要な拠点です。

収容人数が116名と限られているため、入園予定日の4ヶ月前から35日前までの期間での申請が推奨されます

夏休み期間に登山する場合は確実に4ヶ月前からの申請を推奨しています。

外国人優遇制度として、平日(月~木曜日)は毎日24名の外国人専用枠が設けられており、台灣登山申請一站式服務網という公式サイトから申請すれば予約が確保できます。

3. 排雲登山服務中心までのチャーター手配

排雲登山服務中心

(画像出典:玉山国家公園公式サイト)

tripoolを活用するなら、インターネットで宿泊先から排雲登山服務中心までの料金を即座に確認し、予約が可能です。

ドライバー情報はアプリで一元管理され、天候不良時は乗車前日朝6時(台湾時間)まで無料キャンセルが可能で安心です。

tripoolでは往復予約と早期予約の2重特典があるため、排雲山荘の申請が完了したらすぐにチャーター予約をすることをおすすめします。

玉山入山許可申請のステップ

台灣登山申請一站式服務網

台湾玉山への登山申請は、まず公式サイトにアクセスすることから始まります。

※受付時間:毎日07:00~23:00(23:00~翌日07:00はメンテナンス時間のため申請受付なし)

ステップ1:申請ページへのアクセス

ナビゲーションバーの「登山の申請」から「オンライン登山申請」をクリックします。

ステップ2:管理所の選択

「玉山国立公園管理所」をクリックします。

ステップ3:コースの選択

「2天(塔塔加 - 玉山ルート - 塔塔加)(排雲山荘の先行申請)」を選択し、右側の「進入申請」ボタンをクリックします。

※重要な注意点:「2~5天(塔塔加 - 玉山ルート - 塔塔加)」を選択すると外国人優遇枠が適用されないため、必ず「(排雲山荘の先行申請)」のオプションで進んでください

ステップ4:注意事項の確認

すべての注意事項を読み終えた後、「本人已閱讀並充分瞭解上述注意事項,並會遵守國家公園、警政署各項規定。」(私は上記注意事項を読み十分に理解し、国家公園および警察署の各種規定を遵守します)という赤字部分にチェックを入れます。

玉山入山許可の申請書記入例(日本語解説付き)

台湾玉山への登山許可申請書は、以下の手順で正確に記入しましょう。

ステップ1:チーム情報の入力

チーム情報の入力

チーム名を入力します。メインルートと代替ルートはデフォルト設定のまま進めて問題ありません。

ステップ2:登山日程の設定

登山日数は全て2日のデフォルト設定のまま進み、「入園日」を選択します。

ステップ3:ルート計画の選択

ルート計画を予定順に選択し、登山事前講習はオンライン講習を選択してください。

ステップ4:通信機器の確認

GPSなどの緊急連絡用通信機器の保有について「はい」を選択します。(システムの自動翻訳により不自然な日本語表示になっている部分がありますが、そのまま進めてください)

ステップ5:警察署入山証申請

入山事由、前往地點、Route Mapはデフォルト設定のまま進めます。

「Plan」欄では、日本語での記入も可能ですが、台湾登山の時間プランをできるだけ詳しく入力してください。余裕がある場合は、ChatGPTなどの生成AIを活用して流暢な中国語に翻訳することを推奨します。

ステップ6:申請者情報の入力

「申請人は用事があるため、代理人に隊員資料のまとめを依頼し、国立公園管理処へ入園の申請を依頼しました」の欄にチェックを入れ、登山者の詳細情報を入力します。パスポート写真の添付も必要です。

重要事項:

  1. CellPhoneは携帯電話番号を指します
  2. 一人での台湾登山の場合、リーダーは自分の情報を入力
  3. 留守人欄には台湾での緊急連絡先を記入(台湾に知人がいない場合は日本の親族情報でも可)
  4. 全情報入力完了後、「Application limit 12people, Minimum application limit 1 people.」にチェック

ステップ7:申請完了

すべての情報を確認後、送信ボタンを押せば台湾玉山登山の許可申請が完了します。

申請から許可まで実際の流れ

申請送信後の確認

台湾玉山への登山申請を送信すると、画面に入園申請番号などの情報が表示され、電子メールおよびSMSで通知が届きます。

申請状況は「申請状況の確認/支払い/変更/キャンセル」メニューから確認できます。

排雲山荘の抽選結果と支払い

排雲山荘の申請が当選した場合、当選日または繰り上げ当選通知日から3日以内に利用料金を支払う必要があります。

入山許可証の確認・取得

最後に、入山許可証の申請および発行状況を確認してください。内政部警政署入山申請システムによると、入山予定日の3日前から124日前までの期間に申請可能です。

入園許可証は、予定入園日の5日前からインターネットでダウンロードできます

重要な注意事項

  1. 台湾登山の許可を取得したら、リーダー(ガイド)を除き、メンバーの変更は禁止されています。
  2. 天候や特別な事情を除き、無断で入園しなかった場合は、予定入園日から半年間は再申請できません。
  3. やむを得ず入園できない場合は、必ず事前にキャンセル手続きを行ってください。

高速鉄道+バス(最安ルート)のメリット・注意点

台湾での玉山登山では、塔塔加鞍部登山口までの交通手段を事前に検討する必要があります。

最も費用を抑えられるアクセス方法は、台湾高速鉄道(高鐵)とバスを組み合わせたルートです

台北から台湾に入国する場合、前日に高速鉄道で嘉義まで移動し、現地で1泊することをおすすめします。

翌日は嘉義市から嘉義県公車で阿里山まで移動し、その後チャーター車で塔塔加遊憩區へ向かうか、阿里山森林遊楽區内で員林客運「6739日月潭─阿里山線」に乗車し、塔塔加遊憩區上東埔駅で下車します。その後「排雲登山服務中心」で入園確認を行い、有料シャトルバスまたは徒歩で塔塔加鞍部登山口へ向かいます。

所要時間(嘉義から) 約4時間
費用:高速鉄道(台北から嘉義まで) 1,100台湾ドル(約5,500円)
費用:バス 350台湾ドル(約1,750円)
合計費用 1,450台湾ドル(約7,250円)

確かに他のアクセス方法と比較して圧倒的に安価ですが、重い登山装備を持ったまま複数回の乗り換えが必要となるため、台湾登山初心者にはあまりおすすめできません。体力的負担と移動時間を考慮すると、より快適なアクセス方法を選択することを推奨します。

高速鉄道+タクシー(中間コスト)のメリット・注意点

タクシー

台湾での玉山登山において、バスは混雑により乗車できない可能性があるため、高速鉄道とタクシーを組み合わせたアクセス方法がより確実で便利です。

所要時間(嘉義から) 約3時間
費用:高速鉄道(台北から嘉義まで) 1,100台湾ドル(約5,500円)
費用:タクシー 2,600~3,500台湾ドル(約13,000~17,500円)
合計費用 約3,700~4,600台湾ドル(約18,500~23,000円)

台湾登山に必要な重い装備を持参していても快適に移動でき、バスの満席による乗車拒否のリスクもありません。

また、所要時間が短縮され、ドア・ツー・ドアでの移動が可能なため非常に楽です。

しかし、バス利用と比較して費用が大幅に増加し、タクシー料金は交通状況により変動する可能性があります

チャーター送迎のメリット・注意点

tripoolのチャーター

タクシーは事前予約ができず、Uberも嘉義では利用できない可能性があるため、語学力に不安がある場合は事前予約可能なチャーター送迎の利用を推奨します。

tripoolなら台北から玉山登山口まで直接送迎が可能で、長距離移動に特化したサービスが利用できます。

所要時間(台北から) 4時間
合計費用 6,400台湾ドル(約32,000円)

一見料金が高く感じられますが、これは台北から塔塔加鞍部へ直接移動する価格です。

この方法なら、台北から嘉義への高速鉄道利用と前泊が不要になり、嘉義でのホテル代(相場2,000台湾ドル)を節約できます

高速鉄道+タクシー+前日のホテル代と比較すると、台北からの直接チャーター移動の方が便利です。

また、高速鉄道からタクシーへの乗り換え時における、台湾登山装備や荷物の運搬も不要になります

もし前日にゆっくりと嘉義観光を楽しみ宿泊する場合は、嘉義から登山口まで利用することも可能です

所要時間(嘉義から) 約2時間半
費用:高速鉄道(台北から嘉義まで) 1,100台湾ドル(約5,500円)
費用:タクシー 3,200台湾ドル(約16,000円)
合計費用 約4,300台湾ドル(約21,500円)

タクシーの距離料金制と異なり、tripoolは明朗会計で追加費用が発生しないため、タクシーより予算管理しやすく安心です。

台湾での玉山登山を計画される際は、ぜひチャーター送迎の利用をご検討ください。

出発前の準備

排雲山荘の予約が完了したら、必要に応じて排雲山荘の食事提供および寝袋レンタルサービスについて公式サイトで確認してください。

予約には指定のメールアドレスにフォームを送信する必要があります。

出発1週間前の確認事項

台湾玉山登山の成功のため、以下の項目を必ず確認してください:

  1. 公式サイトの登山ルート開放状況で玉山ルートの状況確認
  2. 天気予報の確認
  3. 登山口からのシャトルバス予約状況
  4. 登山口とホテル間のチャーター送迎予約状況

出発前日の装備確認

台湾登山に必要な装備一覧:

  1. 日除け・保温帽
  2. 防寒衣類
  3. 地図・資料
  4. 手袋
  5. ライター
  6. 洗面用具
  7. ホイッスル
  8. スイスアーミーナイフ
  9. 着替え
  10. レインウェア上下
  11. 身分証明書
  12. 登山靴・靴下
  13. 大型バックパック(カバー)
  14. 水筒・食器
  15. 個人用ノート・筆記用具
  16. ヘッドライト(予備電池)
  17. 寝袋
  18. 個人用食料
  19. 個人用医療品(携帯用酸素ボンベ含む)

出発当日の服装確認

台湾の高山登山では「レイヤリング(三層式)」の着用法を推奨します:

  1. 内層(ベースレイヤー):吸汗・透気性に優れた速乾素材
  2. 中層(保温層):ウール、ダウン、フリース素材
  3. 外層(シェル):上下セパレート式の防風・防水・透湿ウェア(GORE-TEX素材など)

重要な注意事項

  1. 頭部は毛細血管が多く、毛穴からの放熱が速いため、風雨にさらされると頭痛や高山病症状の悪化、低体温症を引き起こす可能性があります。
  2. 登山ウェアの色は自然に溶け込むアースカラーが適しています。鮮やかな色は救助に有利とされますが、正しくは通常登山時はアースカラーを着用し、緊急時のみ鮮やかな色や反射素材のレインウェア、シート、ザックカバーなどで救助を求めます。
  3. その他必需品:手袋、マスク、ヘッドバンドなど

台湾での玉山登山を安全に楽しむため、これらの準備を怠らないようにしましょう。

台湾での玉山登山中に一人で緊急事態に遭遇した場合は、まず自身の安全確保を最優先とし、体温保持による低体温症の防止、体力温存、症状悪化の防止に努めてください。

緊急連絡方法

  1. 無線通信:SOS専用チャンネル(周波数145.000MHZ)での呼び出し
  2. 携帯電話:112番への通報が最も便利で迅速です

緊急連絡先一覧

  1. 救急電話:119
  2. 警察通報:110
  3. 緊急電話:112※自社の電信会社のサービス圏外でも、携帯電話に電力が残っており「他社電信会社のサービス圏内」にいる場合は112番での救助要請が可能です。
  4. 玉山国家公園管理処:049-2773121
  5. 内政部警政署保安警察第七総隊第六大隊:049-2775110

上記の連絡先に通報する際は、「HELP」という英語で緊急事態であることを伝えてください。

最後に、台湾登山は必ず疲労を伴うため、下山後はチャーターでゆっくりと休息を取りながらホテルまで戻ってください。

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